
図形とは何か
図形のもとは何か
図形を考察するときに、その構成はまず『形』だと認識される。
その認識は正確なのか、と立体のモデルを作り始めてから、考えるようになった。
立体にするとき、その構成はもちろん幾何学の図形なのだが、その構成は、ある幾何学の図形同士がそれぞれの交点、つまり他の幾何学図形との関係性によって立体として現れる。
このとき、認識において、図形を形とするか、関係性とするかでその対象図形についての考察の結果が変わってくる。
形だけを追う場合、それは三面図のようなある特定の位置からその立体図形を確認することで全体が現れるとする認識になる。この時、それ以外の視点は、特定の位置からの認識によって包括される、とする認識のあり方になる。
関係性からその立体図形の認識を行う場合、それは360度の視点から全体を通してどのようなあり方かを問いつつ、その図形を考察することになる。
現れた結果は、同じものになる場合と、異なる場合とが出てくるだろう。
図形は、先に触れたように、形状だけでなく、その関係性によって成り立っていると考えることもできるため、図形を形のみ追うことは、正確に捉えていると考えるには性急なのではないか、もっと全体として図形の在り様を根源的な視点から見つめることが重要なのではないかという考えに至り、形状と共に関係性という視点から図形を見る様になった。
特定の視点で見ることの利点とリスク
三面図のように、特定の視点で立体図形を見る場合、そのものがどのような形状なのかを過去の経験から、またその他の資料などから素早く判定することが可能になる。が、立体図形の場合、その視点が正確にその形状を表しているものなのかどうか、判断が難しい場合がある。
さらに立体図形の場合、図形の形状は異なるが、関係性が同一のものということも起こる。
以下の図形は、形状は異なるが同一の関係性である図形の一例である。



このように、立体図形の認識については、その図形の在り様によって対象への認識も変化する。ここが立体図形の面白さであり、立体図形が持つ情報量の多さゆえの、認識の難しさを明らかにしている点だと言える。
立体図形を立体のまま認識すること
私たちの認識は、常に平面を基本にしており、立体図形といっても平面の展開図をもとに組み上げた立体図形という、あくまでも平面の域から出ていない認識で、立体図形を把握している。この点が立体図形の認識を平面的思考の特性でもある、ある側面からの限定的な認識の状態にとどめている原因なのではないかと感じている。
これを認識の拡大や変容によって、純粋に『立体を立体として認識する』という段階において、初めて立体の世界を理解し、その世界で動くことが可能になる、と考えた場合、その道をゆくことの険しさと共に未だ認識の外にある立体の世界の奥深さと興味が募るものである。
ひとまずは、この平面を立体にする、という手法から立体を立体として認識できるためのウォーミングアップの時と考えて、言語化が可能かどうかは一度傍に置いて、さらなる思考、認識のアップグレードに挑みたい。